所得が伸びないのに物価だけが高騰する・・コストプッシュ・インフレは第4次中東戦争を因にイスラエルを支援するアメリカとその又米支援国らにアラブ石油輸出国機構が原油の供給を阻んだオイル・ショックで'70年代の米経済にも表れた現象でした。
 この大いなるマクロ経済の疾病を退治すべく、'79年FRBのポール・ボルカー議長による劇的な金融政策の転換を見て、ミルトン・フリードマンが主張したマネタリズムに近しい政策は見事米マクロ経済の大いなる疾病を治癒させました。
 しかし、その時代の米経済が経験したコストプッシュ・インフレと昨今の日本経済が苦しんでいるそれは病因を異にするもので、内に向かっては人口減少に因る所得の伸びの圧迫と外に向かっては円ドル・レートの円安傾向がもたらした輸入財の高騰が昨今の日本経済を苦しめている病因です。
 ですから、'70の掉尾を飾った劇的な米金融政策の転換を模倣しても、日銀は政策の成功を見ることは叶わず、ひたすらベース・マネー供給のバルブを開け続け、全国における中小企業への市中銀行の融資を後押しせねばなりません・・・
 しかし、岸田内閣の図った策、所得が伸びぬから減税をという料簡では現今の日本経済を苦しめているコストプッシュ・インフレを退治できませんね