平安朝廷は何故か丹波国一宮を出雲大神宮と号した。
 若狭湾に注ぐ由良川を遡ると、旧丹後国加佐郡下に元伊勢神宮を称える社を見る。
 古社の境域から望む日室ヶ嶽は太古よりの原生林に蔽われて突兀とした実に神秘的な印象を与える独立丘だ。

 出雲国神門郡は島根半島の西端に大社を鎮座させ、対馬海峡に臨む朝鮮半島南端から日本列島へ渡るならば、海流に乗って極自然に上陸する地点であっただろう。
 事実、日本海に臨む山口県萩市内には出雲族の祖神の名を号する須佐湾を見る。